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日本の野生動物とそれに関わる諸問題

日本の野生動物と問題点を考える

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前書き

日本に限らずその国家のオリジナルな野生動植物を保護していく事は重要であり、1975年に出来た「ワシントン条約」は国際的な観点からそうした保護を義務付けるものであり「その国家の生態系を守る」事はその国家の国民の人道的な義務になりました。

しかしこの「ワシントン条約」には重大な欠陥があり、その欠陥が現在日本人の第一次産業である農業、漁業に深刻な被害を与えています。具体的に言えば「ワシントン条約」とは絶滅の危機にある動植物の国際取引を禁止するだけの条約であり、絶滅の危機が無い動物については全く関係が無い条約です。しかし特に日本にとって本当に問題なのはこの「絶滅の危機の無い動物」であり「絶滅の危機の無い動物」が「絶滅の危機にある日本の動物」を絶滅させる危険性を持っており日本古来の生態系はこの外来の「絶滅の危機の無い動植物」の為に崩れかけている状況です。日本国内でいう「特定外来種」がまさにそうでありこうした外来種に対して日本古来の生態系は非常に弱く日本古来の生態系は世界的に見ても非常に特殊なものです。

今回のブログではまず海外の事例からそうしたオリジナルの生態系が壊れた事例を記述して日本国内に現在ある問題とその解決に対しての私の意見を述べてみたいと思います。宜しくお願い致します。

夢の楽園を破壊した本当の責任者

日本古来の生態系も世界から見れば確実に特殊ですが世界中で最も特殊な生態系を持っているのは確実にオーストラリア大陸です。

この大陸は極めて古い時代に他の大陸から切り離された為に、ヨーロッパの人間がそこに到着するまでは他の大陸では当たり前にいる獣類(母親が子供を産み母乳で育てる動物)が全くおらずカンガルーやコアラなどの有袋類やカモノハシのような哺乳類でありながら卵を産む単孔類の楽園でした。オーストラリアの固有の生態系にはネズミすらいません。この大陸の生物は世界の中で独特の進化を遂げた固有の動植物だけで出来ておりまさに「夢の楽園」でした。

しかしヨーロッパの人間が移住してくるとその生態系は激変します。原始的な哺乳類である有袋類や単孔類は絶対にそれよりはるかに進化した真獣類には生存競争で勝てない訳です。人間だけでは無く、この大陸を「夢の楽園」だと感じたのは人間と一緒に入ってきた犬や猫や豚などすべての動物であり、これほど住みやすい場所は無かった訳です。

かくしてまずは人間と犬と猫によってこの大陸の生態系は荒らされていきます。有袋類で最大の食肉獣であったタスマニアタイガーは野生化した犬にその獲物を捕る場所を急激に奪われ人間の飼っていた羊を食べ始めた為に絶滅に追い込まれ、かつてはオーストラリア全土に生息していたタスマニアデビルは飼い猫によってその生息地がタスマニア島だけになってしまう事態に陥りました。有袋類の肉食獣は決して真獣類の肉食獣には勝てません。現在でも野生化したディンゴと呼ばれる犬の被害は深刻でオーストラリア政府は莫大な予算をかけてディンゴフェンスを設置しましたがそれでもその効果は限定的でありディンゴは現在でもオーストラリアの固有の生態系を確実に破壊している存在です。ニューギニアにイノシシがいるのは人間が連れてきた豚が野生化したものでありオーストラリアの生態系は確実に破壊されました。

日本の生態系の問題点

日本の生態系でまず最初に被害を受けたのは水の中の動植物でした。戦前から日本にアメリカより輸入されて野生化したウシガエルとそのエサであるアメリカザリガニは日本の生態系を破壊していきました。その後には中国から入ってきたライギョが、そして現在ではアメリカから入ってきたブラックバスブルーギルが漁業に深刻な被害を与えています。そして次には外来哺乳類であるハクビシンやアライグマ、ヌートリアなどが次第に増え始め農業に打撃を与え、日本の歴史文化財を傷つける被害が出てきました。日本が今後考えるべきはこうした外来生物の駆除でしょう。

ここで皆様は私が外来有害昆虫であるセアカゴケグモやアルゼンチンアリについて全く触れていない事に疑問を感じませんか?  セアカゴケグモは極めて毒性の強いクモであり死者まで出していますが私は日本の生態系に影響を与える存在には全くならないと考えています。もっと有害な外来昆虫が入ってきても日本の生態系が一時的には影響を受けるでしょうが特別な対策は必要が無いとも私は考えています。その訳は実は世界最強の昆虫が日本の古来の生態系の中にいるからであり、その昆虫とはほぼ日本全土に生息するオオスズメバチです。かつてアメリカから入ってきたアメリカシロヒトリは日本全土の桜をはじめとする植樹に取りつき深刻な被害を与えましたが現在は絶滅に向かっています。松を痛めるマツクイムシの損害も確実に減少方向に向かっています。日本国内には初めからオオスズメバチという天敵がおり、彼らが外来有害昆虫の過度な増加を確実に食い止めています。

オオスズメバチは人間にとっても深刻な昆虫であり毎年多数の死者を出し、養蜂場のミツバチを絶滅に追い込む有害な存在ですが役にも立っている訳です。爬虫類による死者よりも昆虫による死者のほうが多いのは日本だけだという皮肉な結果の原因であるスズメバチ類が実は生態系の保護にも役立っている存在であり過度な駆除は私は避けるべきだと考えています。

これに対して日本の水辺にはワニも大型のトカゲもおらず、日本の山中にはトラもヒョウもいません。この事が特定外来種だけでは無く、日本古来の動物であるツキノワグマやシカやイノシシの農業被害を深刻にしています。彼らには天敵がいない訳です。この農業被害の増加は日本の野犬駆除と深く関係しています。昭和40年代の日本国内に野犬がいた環境ではこうした動物の増加による被害は殆ど無い状況でした。野犬が彼らの天敵になっていた事は間違いがありません。

しかし私は野犬の駆除が間違った政策であるとは決して思いません。野に放たれて野生化した犬は確実に一種の猛獣です。人間の子供も多数犠牲になっており絶対に駆除が必要な動物でした。放っておけば大変な事になっていたであろう事は間違いがありません。

それではどうすればいいのか?  再び海外の成功事例を出してその後私の考えを述べさせて頂きます。

イエローストーン国立公園の例

現在から100年ほど前にアメリカのイエローストーンでミュールシカを守ろうという運動が始まりました。ミュールシカは大変美しく華麗な鹿でありこれを保護する為にイエローストーン周辺のミュールシカの天敵であるオオカミとピューマは一頭残らず撃ち殺されました。1926年に最後のオオカミが殺されミュールシカの天敵は全くいなくなりました。ところが今度は増えすぎたミュールシカがすべての植物を食べつくして食料が無くなり餓死していく状況になり、イエローストーンは砂漠化し殆ど動物がいない危機的な状況に追い込まれました。そこまで陥って1995年にアメリカ政府は大英断を下します。カナダからシンリンオオカミ32頭を連れてきてこの場所を国立公園に指定しオオカミをこの場所に放しました。

すると凄まじい変化が起こりました。たった五年でこの地区の植物は完全に復活し、その植物を餌とする小動物が集まってきました。ビーバーは川をせき止めるダムを造り始め川の流れが変わり浅瀬が沢山出来ました。この浅瀬の水を求めて大型の草食獣やヒグマなども集まる様になり20年後の2015年にアメリカ政府はこの公園内の生態系が完全に復活したと発表しました。たった32頭のオオカミがわずか20年でこの国立公園の生態系を完全によみがえらせた訳です。このオオカミの再導入は野生動物をめぐる「20世紀最大の実験」と呼ばれ、語り継がれています。私はこういう事例こそ日本は積極的に活用するべきだと思います。

日本にオオカミを入れよう

私が日本の生態系を守る為に提案したいのはこの題名が全てです。日本には明治時代の末期まで日本狼がいました。彼らが食物連鎖の頂点に立つ事で日本は自然の生態系を維持してきた事は間違いの無い事実です。日本にオオカミを再導入するだけでこの国の生態系は確実に蘇り、特定外来種も増えすぎたシカやクマやイノシシの農業被害も無くなりすべてが解決します。

オオカミに対して日本人は過度な恐怖心を持ち過ぎです。我々の祖先は明治時代までオオカミとともに生活してきた歴史を持っています。オオカミが人を襲った記録は非常に少なく、オオカミの好物は人間では無く確実に野生動物と犬の肉です。勿論これは大胆な提案であり慎重に考える問題ですがもともと日本にいた動物を再び戻すだけであり、その被害は特定外来種などよりもはるかに少ないと思います。是非皆様にもご一考頂ければありがたい思いです。

あとがき

実は特定外来種に指定されていなくても外国の動植物は皆様の周りにもたくさん入ってきています。ネズミが大きくなったのは栄養のある食べ物などのせいでは無く海外のドブネズミが日本国内に入ってきただけです。4月ごろに咲くタンポポは西洋タンポポでありタンポポに集まるミツバチも西洋ミツバチが多い事は確実です。これらは故意に持ち込まれたものと勝手に入ってきたものと両方があり、日本古来の日本タンポポも日本ザリガニも今や絶滅危惧種であり10年ほど後には雀すら絶滅危惧種の指定を受けるとの報告もあります。

つまりもう現在の我々の生活の中に当たり前に外来種はあふれている訳であり我々はその中で普通に生活している訳です。日本古来の品種と外来種との違いはその大きさや生命力の強さにあり日本古来の品種はどうしても外来種に負けてしまいます。

とは言っても我々の世代でこれらの品種を絶滅させる事は私は後世の日本人に対しての恥である事は間違いないと思います。日本古来の生態系も我々の使命として絶対に守り抜くべきです。

さて次回からの動物ブログですがしばらく「猛獣もし戦えば」という項目でやらせて頂きたいと思います。その第一回は「トラとライオンはどちらが強いのか」で書こうと考えています。「トラのほうがライオンより強いのではないか」と言われ出した歴史は意外に古く19世紀以降には具体的な論文もかなり出てきていますし、そのきっかけになった事件も勿論あります。そのあたりの話を私の持論も交えてじっくりと書いてみたいとも考えています。宜しくお願い致します。