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猛獣、もし戦えば!

ライオンとトラはどちらが強いのか?

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前書き

今回から具体的に猛獣同士の戦いを記述していきたいと思っていますが初回はこのネコ科の大型獣同士である「ライオン」と「トラ」との対決について考えてみる事にします。

「トラのほうがライオンよりも強いのではないか?」と言われだした歴史は意外に古く古代ではローマ帝国で競技場で戦わせた記録がありこの時にはトラのほうが勝った記録が多く残っていますがライオンはトラと比べて温厚な性格であり積極的に戦わないライオンを戦意が無いので負けにした事も解ってきています。19世紀の頃はインドにはライオンとトラが同居していてライオンの数が急激に減りだしたて再びこの議論が持ち上がりました。「トラがライオンを殺したのではないか?」と当時の人は考え始めた訳です。このライオンが急激に減り始めた原因は現在ではトラの存在とは別にはっきりしてきているのですが当時の人間にとっては解る筈も無くトラがライオンを殺したと思い始めた訳です。

さて、この事とは別に前回全く書けなかった肉食獣には非情な掟がありその掟の中で肉食獣は過酷な野生生活を過ごしている事を最初に述べておきたいと思います。今回のブログではその「肉食獣の掟」に触れてからこの両者を比較しその対決の結果を考えてみたほうが今後のブログにも役立つと私は考えています

宜しくお願い致します。

肉食獣の過酷な掟

原始的なクマのような肉食獣から高等なネコ科やイヌ科の動物まで肉食獣には共通した法則があります。それは小形の肉食獣は同じ過程で進化した大形の肉食獣には決して勝てず、むしろ大形の肉食獣は同じ科の小形の肉食獣の肉を好んで食べるという傾向があり特にこの法則は進化したイヌ科やネコ科の動物に顕著に表れているという事実です。

イヌ科でもネコ科でもその獲物の捕獲方法は同じような方向で進化してきました。つまり大形のネコ科の動物と小形のネコ科の動物の戦い方は基本的に同じな訳で、戦法が同じである以上小形の動物が大形の動物よりも優れているのはスピードだけであり、捕まってしまえば絶対的な体力の差が確実に勝敗を分ける原因になる為に現実的には小形の肉食獣が大形の肉食獣には勝てないという真実です。具体的に言えばライオンとヒョウ、トラとヒョウとの戦いは頻繁に起こっておりその結果は一方的です。ライオンもトラもヒョウを捕まえれば殺して食べるだけでありヒョウがライオンやトラに勝てるのはライオンやトラが老化して体力を無くした場合のみと言っても良く壮年期の両者が戦えばヒョウの体力はライオンやトラには全く通用しません。ライオンもトラも体重200キロに迫る大形のネコ科の猛獣でありヒョウの体重は大きくても50キロほどです。体力の差は歴然としておりヒョウが勝てる可能性など何もありません。ネコ科でいえばライオンやトラはヒョウを襲って食べヒョウは大形のヤマネコを襲って食べ大形のヤマネコは小形のヤマネコを獲物にします。戦法が同じである以上体力の差は絶対です。

これはイヌ科も全く同じでオオカミはコヨーテを好んで襲います。コヨーテは飼い犬を襲い飼い犬はキツネを襲います。しかもこのイヌ科とネコ科についてはこの傾向はリンクしておりヒョウは犬の肉が大好物でありリカオンやドールは群れで積極的にヒョウを狙います。肉食獣の猛獣同士の対決の根元にはこの体力の差が確実にある事を知っておいてください。しかしライオンやトラの次に大きなネコ科の動物は南米のジャガーでありこの地域にはピューマが同居しています。この両者の対決の場合にはそれほど体格に差がある訳でも無く顎の力が強いジャガーとスピードを武器とするピューマでは戦い方も少し異なります。この両者の対決についてはまた別のブログで取り上げる必要があると思います。

ライオンとトラの体力、性格の比較

まずその大きさの比較をしましょう。これまでで調べられた最大のトラはロシアのアムールトラで全長3.9メートル、体重は320キロになります。一方ライオンはアルジェリアで捕獲された全長3.1メートル、体重は260キロほどでありトラのほうが大きい事が解ります。しかしこの単純な大きさの比較には両者の体格の差がある事も考えなければならないと思います。トラはライオンと比較して胴が長く足が短いのに対してサバンナで獲物を追いかけて捕まえるライオンは足が長く胴が短いのが一般的です。トラはユーラシア大陸に広く分布している動物であり一般的に同種の動物は寒い地方になるほどその体格は巨大化します。これは寒さに耐える為には表面積を増やしたほうが効率が良いという「ベルクマンの法則」と言われるものですが現実にロシアのトラは大きく南方のバリドラなどは非常に小柄です。しかしこの「ベルクマンの法則」は絶対では無くインドに住むベンガルタイガーは非常に大柄でありその性格も極めて荒く凶暴です。「マンイーター」と呼ばれる人食いに一番なりやすいのはこのインドのトラと言われており非常に人間にとって危険な存在です。

このトラの力をご紹介します。インドでは11人の人間がかかっても全く動かなかった水牛の死体をトラは一頭で15メートルも引きずっていった記録があります。ロシアではヒグマとトラが同居していますがロシアのトラはこのヒグマを襲います。日本の北海道のヒグマは世界のヒグマの中ではシリアヒグマに続いて小形であり体重200キロ余りですがロシアやアラスカに住むコディアックヒグマと呼ばれるヒグマは最も良く太る秋には体重800キロ近くになります。ロシアのアムールドラはこの自分の数倍の体重のヒグマに襲い掛かり倒します。インドではインドゾウも何度もトラに殺された記録がありトラにとって大きなヒグマを倒す事など何の躊躇もためらいもありません。これがトラの現実の力です。

一方のライオンの力についてですがこのトラの力に全くひけを取らない実力を持っています。ジャングルと呼ばれる密林に住むトラよりもサバンナと呼ばれる草原に住むライオンのほうが人間を襲う傾向は少ないのが現実ですが1898年3月から同年12月にかけてイギリス領東アフリカ(現:ケニア)のツァボ川付近で発生した2頭のたてがみの無いオスライオンによる「ツァボの人食いライオン」と呼ばれる事件は有名で「ゴースト&ダークネス」の題名で映画化されました。この3月から12月までの間にこの二頭のライオンによって135人もの人間が犠牲になり一時期この地区の鉄道工事は完全に中断されました。「人間の肉」の味を覚えたライオンがいかに恐ろしい動物になるのかをこの事件は端的に証明しています。ライオンの力についても1トン近い家畜の牛を殺したライオンがその牛を咥えたまま2メートルのフェンスを飛び越えて逃げた事件もありライオンの攻撃力は2トン以上あるクロサイやもっと体重のあるカバにも及びます。我々人間からは想像を超える体力の持ち主です。

トラとライオンの対決

さて、この両者が戦った場合どうなるのでしょうか。世界の動物園の中ではこの両者を同じ場所で飼っているところもあり動物園内ではトラとライオンは何度も戦っています。

その戦い方を見てみると最初に攻撃を仕掛けてくるのはトラのほうからが確実に多くトラのほうが攻撃性が高い事が解ります。しかしライオンのたてがみは相手の攻撃を防ぐ点ではトラの頬ひげよりもはるかに勝ります。この両者の動物園での戦いの経過も勝ったり負けたりの繰り返しでありライオン対ライオン、トラ対トラの対決と見ていて何も変わりません。したがって私も「引き分け」としか結論の出し方がありません。しかしこの両者がもし死に物狂いで戦った場合は若干トラよりも頭骨が大きいライオンに有利だと思います。ライオンはどちらかといえば群れで生活する動物で共同で狩りを行う習性があるのに対してトラは基本的には単独で生活しています。この両者がもし野生で出会ったと考えると群れ対単独の衝突になる確率も高いと思います。「1対1の対決でなければ不公平だ」と考えるのは人間の勝手な思いであり、この両者は現実に野生でそうした生活をしているのでありこうした衝突は確実にトラのほうが避けるでしょう。

従って私の判断は「ライオンの優勢勝ち」になります。1対1なら互角でも群れと単独では勝敗は明らかです。この両者は体力も戦闘力となる爪の力も顎の力もほぼ互角であり単純にどちらが強いとは決して言えません。ですから結論もはっきりとは出ない訳でこういう回答になってしまいます。ご了承ください。

あとがき

「ライオンとトラとどちらが強いと思うか?」と私が人に聞いた時の反応は「トラ」と答える人が圧倒的に多いのがこれまでの経験でした。草原で寝そべっているライオンよりも密林で単独で暮らすトラのほうがなんとなく動きが俊敏に見えるのがその原因だと私は思っています。

しかしライオンが草原で寝ているのは体力を無駄に使う事を避ける為であり決してライオンがトラに俊敏さで劣る訳ではありません。他の動物を獲物にする肉食獣はいつでも食べ物がそばにある草食獣とは全く違い狩りをしても失敗する事のほうが確実に多い訳でその為に出来るだけ無駄に体力を浪費する事を恐れて体力温存の為にじっとしているだけです。自分よりも大きな獲物を狙う肉食獣は狩りの時に最大限体力を発揮しなければそうした大きな獲物を倒せません。ライオンが寝転がってあまり動かないのもその準備の為です。

また大きく誤解されているのが通常狩りをするメスライオンのほうがオスライオンより強いと思う勘違いです。確かに群れの中でオスライオンが狩りに参加する事は殆どありませんがそれはライオンのオスとメスとではその群れの中での役割分担が違うだけでありオスライオンが戦う相手は自分の群れのテリトリーの中に入ってきた他のオスライオンでありこの時にはオスライオンは決死の覚悟で他のオスライオンと戦い、入ってきたオスライオンを追い出して自分のテリトリーを守り抜かなければなりません。負ければすべてを失います。テリトリーもその群れの中のメスライオンも取られて今度は新しく入ってきたオスライオンが前のオスライオンの子供を皆殺しにして自分のテリトリーや群れを作り直す作業を始めます。現実の野生のライオンの生活は非常に厳しくいつ入ってくるか解らない他のオスライオンと戦う為にはその群れのリーダーであるオスライオンは自分が怪我をしてしまう可能性のある狩りに簡単に参加する訳にはいかず結果として通常の狩猟はメスライオンの仕事になっているだけです。決してオスライオンが怠けている訳ではありません。

さて、次回のブログですが「ヒョウ対ゴリラ」を書いてみたいと思います。この対決も現実に頻繁に起こっています。ライオンやトラと比べて確実に非力な体重50キロほどのヒョウとサルの中では最も大きく最も力が強くオスの体重は150キロを超えるゴリラとの対決です。

しかしこの対決ではヒョウもゴリラも意外な側面を見せます。余裕があればヒョウと他のサルとの対決も記述してみたいと考えています。宜しくお願い致します。