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猛獣、もし戦えば!

ゴリラ対ヒョウ

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前書き

私が番外編として「クズリ」の動画を2本挙げさせていただいたのは肉食獣同士の争いでも決して体力や顎の力が絶対では無く「その性格が大きく勝敗を分ける原因もある」事の一つの証明です。クズリはシベリアではトラの獲物でも奪い取ります。ではトラやオオカミの群れがクズリと決死の覚悟で戦ったらクズリより弱いのかといえば決してそうでは無くクズリを殺す能力を充分持っている事は確実でしょう。

しかし彼らはそんな事はせずに簡単にクズリに獲物を奪われています。何故そうなるのかといえばクズリを殺すまで戦う事は自分も怪我をする覚悟が必要になる訳です。高等肉食獣として進化したネコ科やイヌ科の動物は大脳も非常に発達しており自分が怪我をする可能性を出来るだけ避けます。そんな事になればその後獲物を捕る事に支障をきたして自分が餓死する可能性も出てきます。肉食獣同士の戦いは単に体力の差だけでは無く戦う事にデメリットのほうが多ければ無駄な戦いは出来るだけ避けるのが常識で怪我をして自分の戦闘力が落ちればその後の生活に致命的な影響を受ける訳です。

何故今回の「ゴリラ対ヒョウ」のブログの前にこの話をしたのかといえばこの両者の戦いにはこの両者の性格や知能の違いが決定的な勝敗を分ける結果になっているからです。単純な体力差では決して猛獣同士の戦いの結果が出ない事を証明する貴重な実例がこの「ゴリラ対ヒョウ」の戦いになります。そうした中で今回のブログを進めていくつもりです。宜しくお願い致します。

ゴリラの体力とその暮らし

皆様はゴリラの体格やその体力をご存知でしょうか? まずはこの対決を整理する為にもゴリラとはどういう動物であるのかから記述してみたいと思います。

オスのゴリラの成獣の体長は約170~180センチ、体重は150~180キロになります。人間の男性と殆ど身長の差が無いのに体重が大きく違うのはその体に付いた筋肉の差です。ゴリラの握力は低く見ても400キロ以上、そのパンチ力は2トンに及びこの数字はネコ科の猛獣の最高値を大きく上回りヒグマの倍近いパンチ力になります。その腕力は直径10センチの鋼鉄の棒をくの字状に曲げ電線のワイヤーを両腕の力だけで簡単に引きちぎります。恐ろしい怪力であり人間がいくらトレーニングを積んだとしてもゴリラの腕力には到底及びません。

ところが注目すべき点はその生活ぶりです。彼らは通常群れで暮らしていますがその食料は殆ど植物の葉や果実などであり他の動物を襲ってその肉を食べている訳ではありません。山の中で植物を食べて暮らすゴリラは大変な力持ちですが極めて平和な森の住人です。一方のヒョウはサルを獲る為に進化した生粋のネコ科の肉食獣であり、この両者は生息域が重なっています。この両者の対決は現実に何度も起こっています。その詳細を次項で見ていきます。

ゴリラ対ヒョウ

なんとこの怪力を持つゴリラがネコ科の猛獣では割と小柄で体重50キロにも満たないヒョウに何度も殺されています。それも幼獣では無くシルバーバックという背中の毛が銀色に変わった壮年期のオスゴリラがいとも簡単に何度も殺されています。ウガンダでは頭数が少なくなったマウンテンゴリラを保護していますが、この保護は人間の密猟者からの保護よりもむしろゴリラがヒョウに襲われる事を防いでいる意味が強いくらいです。ゴリラは現実には人間の手まで借りてヒョウの攻撃を避けている訳です。

どういう訳でそうなるのかといえば一つはこの両者の習性の違いです。ゴリラが人間と同じ昼行性の動物であり夜は眠るのに対してネコ科の肉食獣であるヒョウは基本的に夜行性です。寝込みをゴリラはいきなり襲われる訳であり始めからこの戦いはヒョウの優勢状態で始まります。もう一つ決定的なのはゴリラの知能は極めて高く痛みに対しての反応に弱い点です。痛さをこらえて戦うよりもヒョウの攻撃から何とか逃げようと考えてしまう訳でありその結果一方的に殺されてしまいます。人間と体重10数キロのオオヤマネコが戦っても人間が勝てる可能性など殆ど無いのと同じです。むしろ日頃からトレーニングをしていたり戦いの経験が無い分ゴリラは人間よりも弱い面があります。ゴリラに人間が近づくと胸の筋肉を叩いて威嚇してくるのは事実ですが、その後人間が襲われた例も少なく人間が致命傷を受けた事は殆どありません。彼らは見かけとは違い平和な森の居住者であってネコ科の肉食獣であるヒョウとは全く違います。この差がこの両者の決定的な勝敗の分かれ目になります。ゴリラはヒョウの通常の獲物の一つにしか過ぎません。

ヒョウと他の猿類との戦い

ヒョウはネコ科ヒョウ亜目の中でどちらかといえばサルを主食にする為に進化したネコであり木登りが得意でサルの逃げる木の上をどこまでも敏捷に追いかけられる能力を持っています。牙がヒョウよりもはるかに大きいマントヒヒでもマンドリルでも1対1でヒョウに勝つ事は極めて難しくこれらのヒヒ類もヒョウの通常の獲物になります。

但し、すべてのサルがヒョウの獲物になる訳ではありません。ヒョウが通常は決して襲わないサルもいます。その一つが意外な事にチンパンジーです。ゴリラよりも明らかにひ弱に見えるチンパンジーは実は非常に危険なサルです。チンパンジーは決して採食だけでは無く他のサルを襲って食べる肉食も頻繁に行います。単独のチンパンジーでもヒョウを見つけると棒を持って殴り掛かります。チンパンジーも非常に知能が発達した動物ですがゴリラとはその知能の構造は全く違います。彼らは戦いを好む性格に進化していて、しかも戦いに道具を使います。ですからヒョウは通常はチンパンジーを襲う事を出来るだけ避けます。

もう一つ、ヒョウが通常戦いを避けるサルは意外な事に人間です。勿論人食いになったヒョウもいますが普通のヒョウは人間との戦いを出来るだけ避けます。ライオンやトラに人間が勝てる訳も無く簡単に殺されてしまいますが体重が人間よりも軽いヒョウになると人間は簡単には殺されません。20世紀にはアフリカで蝶の研究をしていた学者が突然ヒョウに襲われて、近くにあった木の棒で逆にヒョウを殴り殺した例もあります。人間の力も決して捨てたものでは無くヒョウくらいの大きさの肉食獣にとってはかなりの脅威になります。但し木の上からいきなり襲われた場合はヒョウの攻撃力は決して侮り難く反撃はかなり難しくなります。

しかし一般的にヒョウはチンパンジーと人間とは争う事を出来るだけ避けます。確実に獲れる獲物だけを狙うのが肉食獣の特徴であり自分が怪我をしてしまう可能性のある戦いは出来るだけ避けます。ライオンやトラでも余程の飢餓状態で無い限りゾウやカバに襲い掛かる事はありません。怪我をすれば困るのは自分である事を彼らは第一に考えて獲物に襲い掛かります。

あとがき

「サルの惑星」という映画ではチンパンジーが平和主義者でありゴリラが凶暴な性格を持っている様に描かれていましたが、それは外見から人間が勝手に想像した妄想であり現実には類人猿の中で最も凶暴なのは間違いなくチンパンジーです。

外見の印象でその動物の強弱を決めてしまうとこうした誤解が生まれてしまいます。

テレビに良く出てくる可愛くて賢いチンパンジーは実はすべて子供です。大人のチンパンジーは全く人間になつかず非常に危険な動物になり、まず飼い慣らす事は不可能です。決して印象だけで動物を飼っては駄目で一見可愛く見えるアライグマが大人になれば手に負えないほど凶暴で山に捨てに行く事になり日本の環境がそうした外来生物で崩れかかっています。動物を飼う事は命に責任を持つ事です。外見の印象と現実が違う事をもっと真剣に考えて人間は動物と接するべきだと私は思います。

さて、次回のブログですが「トラ対ドール」を書いてみたいと思います。「ドール」とは別名「アカオオカミ」とも言われるイヌ科の動物ですが現実にはオオカミや飼い犬とは縁が遠くかなり原始的なイヌ科の動物でアフリカのリカオンに近い動物です。オオカミよりもかなり小さく秋田犬よりも一回り小柄な動物ですが集団でトラを襲う事で有名です。トラとオオカミはインドからシベリアまで同じ地区にいますがこの両者の対決については殆ど聞かないのに対してオオカミよりも小柄なドールとトラの対決はインドでもシベリアでも良く聞きます。犬のように群れを作って鳴きながら狩りをするドールの実力は決して侮れないものでインドでは何頭ものドールが母ゾウに殺されながら小ゾウを食い殺してしまった事も記録されています。そうした事も踏まえて次回はトラとドールの戦いを記述してみたいと思います。宜しくお願い致します。